D・M・ディヴァイン『災厄の紳士』(創元推理文庫)

根っからの怠け者で、現在ではジゴロ稼業で糊口を凌いでいるネヴィル・リチャードソンは、一攫千金の儲け話に乗り、婚約者に捨てられた美人令嬢のアルマに近づく。気の強いアルマにネヴィルは手を焼くが、計画を仕切る“共犯者”の指示により、着実にアルマを籠絡していく。しかしその先には思わぬ災厄が待ち受けていた……。(東京創元社http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488240059)

D・M・ディヴァイン、『ウォリス家の殺人』『悪魔はすぐそこに』が面白かったので3作品目。この作家、読みやすいです。また時代の古さを感じさせない。この作家、本格ミステリとしてしっかりしていることもさることながら、登場人物たちの造詣が上手いです。
『災厄の紳士』は金目当てで有名小説家の娘アロマを篭絡していくネヴィル・リチャードソンの目線から描かれていきますが途中から視点が別な人間へと切り替わっていきます。物語運びが上手く、そこに謎解きの面白さがある作品です。またクセのあるキャラクターたちがなんとも味わい深い。映画にしてみても面白そう。

災厄の紳士 (創元推理文庫)

災厄の紳士 (創元推理文庫)