スティーグ・ラーソン『ミレニアム2 火と戯れる女』上下(早川書房)

背中にドラゴンのタトゥーを入れた女性調査員リスベットにたたきのめされた彼女の後見人ビュルマン弁護士は、復讐を誓っていた。ビュルマンはリスベットの過去を徹底的に洗い、彼女を心の底から憎む人物を探し出した。彼はその人物と連絡を取り、リスベットを拉致する計画が動き始める。その頃、月刊誌『ミレニアム』の発行責任者ミカエルらは、重大な決断をしていた。ジャーナリストのダグとその恋人ミアが進める人身売買と強制売春の調査をもとに、特集号を刊行し、書籍を出版することを決定したのだ。ダグの調査では、背後にザラという謎の人物がいるようだった。旅行先から帰ってきたリスベットもダグの調査を知り、独自にザラを追い始めた。だがその矢先、彼女の拉致を図る者たちの襲撃を受けた!(早川書房http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/117239.html

図書館から借り本。『ミレニアム』第二部はミカエルをフォローする形で活躍した謎めいたリスベット・サランデルの過去が絡んだ物語が中心になっていきます。そしてそこにミカエルの雑誌『ミレニアム』で告発しようとする国家問題にまで発展しそうな人身売買と強制売春のネタが絡んでいきます。その過程で連続殺人事件が発生し、リスベットはその容疑者となってしまう。リスベット、ミカエル、そしてリスベットを追う警察の三者三様の視点から描かれ、サスペンスフルな物語が展開されていきます。物語としてはエンターテイメントが強く多少表面的で重厚さは無いのですが問題提示、問題意識の部分での骨格がしっかりしているので読み流して終わり、という感じにはなりません。スウェーデンという国をきちんと見つめて描いているところに好感を持ちます。

ミレニアム2 上 火と戯れる女

ミレニアム2 上 火と戯れる女

ミレニアム2 下 火と戯れる女

ミレニアム2 下 火と戯れる女