桜庭一樹『少女には向かない職業』(創元推理文庫)

あたし、大西葵13歳は、人をふたり殺した……あたしはもうだめ。ぜんぜんだめ。少女の魂は殺人に向かない。誰か最初にそう教えてくれたらよかったのに。だけどあの夏はたまたま、あたしの近くにいたのは、あいつだけだったから――。これは、ふたりの少女の凄絶な《闘い》の記録。(東京創元社http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488472016)

少女小説としか言いようが無い小説。元々ライト・ノヴェル作家なので文章が軽く読みやすい。軽やかな文体で残酷な現実を描く、そのバランスがなかなか上手い。また少女たちの描き方にいやみがないのも良い。少女だった自分を真っ直ぐに見つめている作家なのだろう。前半章の第一の殺人までは感覚的なリアルさがあったのだけど後半章は作りすぎというか…。一気にマンガちっくというかゲーム的な雰囲気になったのが残念。ラスト、救いがあったのは良かった。

少女には向かない職業 (創元推理文庫)

少女には向かない職業 (創元推理文庫)