ギジェルモ・マルティネス『ルシアナ・Bの緩慢なる死』(扶桑社ミステリー文庫)

ある日曜日、作家である「私」の元に一本の電話がかかる。10年ぶりに聞くその声の主はルシアナ。有能な美貌のタイピストだった彼女は、いま命の危険を訴え彼に切実に助けを求めていた。この10年の間に彼女を襲った、近親者の相次ぐ不自然な死亡事故。しかし彼女は確信していた。一見無関係に見えるそれぞれの死の背後で、一人の偉大な作家が糸をひいていることを…。

前作の『オックスフォード連続殺人』がなかなか面白かったという記憶があり(なぜか感想書いてない…一言くらい書こうよ自分)、第二作目を手に取る。ミステリのためのミステリというか、ミステリの構造とはなんぞや?ってところを物語に仕立てた物語。といっても『オックスフォード連続殺人』の時のような理詰めな感じはない。妄想がどこまで現実とリンクするか、みたいなところで物語は進む。ミステリは妄想で成り立つ、って感じでしょうか(笑)。なんとなくゆるい雰囲気が面白いというか、ふ〜んそうですか、で終わってしまいそうな、でも結果に対しての無理矢理な意味づけの怖さなんかも感じられる不可思議な読後感でした。

ルシアナ・Bの緩慢なる死 (扶桑社ミステリー)

ルシアナ・Bの緩慢なる死 (扶桑社ミステリー)