ジェイソン・グッドウィン『イスタンブールの毒蛇』(ハヤカワHM文庫)

スルタンが病床に臥し、オスマントルコの帝都には不安が渦巻いていた。そんなさなか、宦官ヤシムの友人の八百屋が何者かに襲撃される事件が起きる。背後にはギリシャ独立運動が? 一方でヤシムのもとにはフランス人考古学者が転げこんできた。聞けば、何者かに追われているらしい。彼の脱出を助けたことから、ヤシムはますます事件の深みへ……『イスタンブールの群狼』でエドガー賞に輝いた著者が贈る、シリーズ第二弾(早川書房:)http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/434702.html

オスマントルコ帝国が支配する混沌としたイスタンブールという街を描いた『イスタンブールの群狼』の続編。今回はオスマントルコ帝国内部の権力争いの話から今回はトルコとギリシャの対立軸も絡み、その因縁が事件を起こしていきます。そのなかでかのバイロン卿の名前も飛び出してきたりして歴史ものとしての側面が面白いです。またイスタンブールの街の成り立ち、文化の中核をなすものが何か、という謎が提示され多重構造な街を描いてきます。読んでいて迷路に迷い込んでいくような錯覚を覚えてきます。描かれる街の魅力がこの本の魅力。ミステリとしては相変わらずちょっと雑かなあ。地下世界の謎のほうはなんとなく、はぐらかされて終わりのような気がするんですが…私の理解不足かしら??(^^;)。

イスタンブールの毒蛇 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

イスタンブールの毒蛇 (ハヤカワ・ミステリ文庫)