ディーン・クーンツ『オッド・トーマスの霊感』(ハヤカワNV文庫)

オッド・トーマスは南カリフォルニアの町ピコ・ムンドに住む20歳のコック。彼には特異な能力があった。死者の霊が目に見え、霊が伝えたいことがわかるのだ。ある日、オッドは勤務先のレストランで悪霊の取り憑いた男を見て、不吉な予感を覚える。彼は男の家を探し出して中に入るが、そこで数多の悪霊を目撃した。そして翌日に何か恐ろしいことが起きるのを知るが……巨匠が満を持して放つ最高傑作シリーズ、ついに登場!(早川書房http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/31195.html)

久しぶりのクーンツ。そして久々に絶賛させていただきます。これは良いです。まずはモダンホラー好き、超能力もの好きには超オススメ。クーンツ作品は割とコンスタントに読んでいるのですが『ウォッチャーズ』が大好きでそれを個人的に上回る作品が出てこず、ある意味パターン化したクーンツ作品に少し食傷ぎみで『サイレント・アイズ』を最後にここ数年は読んでいませんでした。しかし、いくつかのサイトで『オッド・トーマスの霊感』を褒めているのを目にして手に取りました。手に取ってよかった〜〜。オススメしてくれたサイト管理人さんたちに感謝です。これは『ウォッチャーズ』と同列くらいに好きです。完全に私のツボを押されました。超能力を持ったがゆえに運命に翻弄され哀しみを抱える主人公ってだけで、ぐいぐいツボを押されてしまう。主人公のオッド・トーマスの控えめな性格や優しさが印象的。また小さな町ピコ・ムンドに住む住人たちそれぞれが個性的で複雑。オッド・トーマスを支える人々の暖かさにじーんときます。設定に目新しさはないのですが、いわゆる善を信じるというクーンツ節がとても良い方向にでた作品だと思う。

オッド・トーマスの霊感 (ハヤカワ文庫 NV ク 6-7)

オッド・トーマスの霊感 (ハヤカワ文庫 NV ク 6-7)