パトリシア・A・マキリップ『ホアズブレスの龍追い人』(創元推理文庫F)

龍が生み出す冬に封じ込められた、黄金と氷の街にやってきた龍追い人。古い血を誇る大領主のもとに派遣された、若き吟唱詩人がくだした決断。きれいなものに目がない醜いトロールが出合った、世にも美しいバラ。ドラゴンにさらわれた、女王お気に入りのハープ奏者を捜す五人の女戦士の冒険。わがままな王女に悩まされる、魔法にかけられたヒキガエルの告白……。ファンタジーの名手マキリップの、不思議と魔法が交錯する贅沢な短編集。

『オドの魔法学校』に引き続き東京創元社がパトリシア・A・マキリップを出版。最近、東京創元社さんは翻訳ものを色々頑張ってくれていますね。早川書房のほうももう少し頑張って欲しいなあ。イルスの竪琴シリーズ復刊してくれないかしら。
さて本題ですがこの本は15編の短編を収めた短編集です。さすがに15編もあると物語としてのレベルは一定ではないかなあ。まあこちらの好き嫌いもありますしね。個人的にはマキリップらしい密な構成と情景描写が美しい表題作『ホアズブレスの龍追い人』が一番読み応えありました。あと好きなのは主人公のあり方が彼女らしくて、音色が鮮やかに描写されている『音楽の問題』『よそ者』。全体的には「まあまあ」というものが多く、マキリップは長編のほうが好みだな。この本に入っているいくつかの物語はどこかで読んだような気がするのだけどSFマガジンでだったのかな?

ホアズブレスの龍追い人 (創元推理文庫)

ホアズブレスの龍追い人 (創元推理文庫)