ジェーン・S・ヒッチコック『魔女の鉄槌』(角川文庫)

老外科医は稀覯本『魔法の書』とともに消された。謎に満ちた父の死の真相究明を決意したビアトリスは、十五世紀に実在した魔女裁判の実践書『魔女の鉄鎚』に遭遇する。彼女の身辺に忍び寄るさまざまな影…。女はなぜ魔女なのか、教会はなにを恐れるのか。女のエロス、都市のカルト教団、ヴァチカンの秘密図書館…。やがて、ビアトリスは身の毛もよだつような真実に近づいていく。

恩田陸さんオススメの角川文庫ということで平積みになっていました。翻訳者が浅羽莢子さんで内容が稀覯本を巡るミステリ。これは読まないととさっそく購入。
オカルトと宗教と歴史的陰謀なお話でした。前半はかなり面白いのですが終盤に向けて失速していくのがもったいないですね。終盤、スケール感があまりなく物語としてはありきたりな方向と少々甘いラストでちょっと浅くなった感じ。露骨にフェミニズム方向なのも読者を狭めている気もする。しかし『マレウス・マレフィカールム』(『魔女の鉄槌』)と復刊された際に書かれた序文が実際にある、というところのエグさはストレートに伝わってきて、その本質部分の怖さは伝わってきました。今でもまだ魔女狩りに近いことやってる地域もあるし、昔の話というだけに収まらないのですよね。

魔女の鉄鎚 (角川文庫)

魔女の鉄鎚 (角川文庫)