テリー・ビッスン『世界の果てまで何マイル』(ハヤカワSF文庫)

時の果てから流れてきた魔法使いトーキング・マンはアメリカの田舎町で自動車修理工として一人娘と暮らしている。ある日、白いドレスを着た女性に襲われ失踪。たまたまその場に居合わせた学生は娘と二人でトーキング・マンの行方を捜すこととなる。

ちょっと不思議な感覚のファンタジィ系ロード・ノヴェルです。若者二人の青春冒険もの、とも言えます。アメリカ南部のハイウェイを延々と移動していく様をわりと淡々と描写していくうちに時間の流れが妙に停滞していく感覚を受けます。そしてふと気がつくと現実からどこか離れていってしまっている。日常と地続きの幻想。解説にマジックリアリズムとありました。確かにそんな手触りがあります。すごく面白い、という感じではないのですが余韻が残る物語でした。

世界の果てまで何マイル (ハヤカワ文庫SF)

世界の果てまで何マイル (ハヤカワ文庫SF)