エリン・ハート『アイルランドの柩』(ランダムハウス講談社文庫)

荒涼としたアイルランドの湿原で、赤毛の女性の頭部が発見された。泥炭層の防腐力に守られた死体は、一見しただけでは現代のものか鉄器時代のものかさえわからない。ひょっとすると貴重な歴史的標本になるかもしれないと、考古学者コーマックと解剖学者ノーラは、調査に向かった。だが、現場となる小さな町では、予想外の事件が二人を待ち受けていて……。学者コンビが、時を超えたふたつの事件に挑む、ゴシックサスペンス! (ランダムハウス講談社:http://www.randomhouse-kodansha.co.jp/books/details.php?id=148)

湿原で発見された赤毛の女性の身元を調べる考古学調査をするうちに、その周辺の地主ヒュー・オズボーンの妻子失踪事件への糸口も見つかり始める。歴史ミステリと現在のミステリを解明する物語が同時進行していくスタイルです。


なかなか面白かったです。作者はアメリカ人女性でアイルランドが大好きで旦那さんがアイルランドの方とのこと。アイルランドへの憧憬が小説に現れている感じです。ミステリとしてはちょっと甘いとは思いますがアイルランドという土地、そしてそこに生きる人々への思い入れが丁寧に描かれていてなかなか読み応えがありました。哀しい物語にどこか幻想の世界が広がります。

アイルランドの柩 (ランダムハウス講談社文庫)

アイルランドの柩 (ランダムハウス講談社文庫)