ダフネ・デュ モーリア『レイチェル』(創元推理文庫)

亡き父に代わり、わたしを育てた従兄アンブローズが、イタリアで結婚し、そして急逝した。わたしは彼の妻だったレイチェルを、顔も知らぬまま恨んだが、彼女に会うやいなや、心を奪われる。財産を相続したら、レイチェルを妻に迎えよう。が、遺された手紙が、その想いに影を落とす……アンブローズは彼女に殺されたのか? 壮麗な庭園を背景に、せめぎあう恋と疑惑。もうひとつの『レベッカ』として世評高い傑作,新訳でここに復活。(東京創元社http://www.tsogen.co.jp/np/detail.do?isbn=4-488-20603-4) 

レベッカ』『鳥』の作家モーリアのサスペンスミステリの長編です。読み始めたらページをめくる手が止まらない。大きな仕掛けがあるわけじゃないけどどう物語が転んでいくのか読めないところがモーリアの上手さでしょう。思わせぶりにじわじわと謎が迫ってきます。初心すぎる男性と、ファムファタル系の女が出会ってしまったがゆえの悲劇。やっちまったね、フィリップくん(主人公)、という感じです(笑)同情はできません。ああ、怖い怖い。1951年の作品ですがいわゆる古さを感じさせません。本格ミステリは古びる運命の物語ですがサスペンスは時代を選びませんね。

レイチェル (創元推理文庫)

レイチェル (創元推理文庫)