プリーストリー『夜の来訪者』 (岩波文庫)

舞台はある裕福な実業家の家庭.娘の婚約を祝う一家団欒の夜に警部を名乗る男が訪れ,ある貧しい若い女性が自殺したことを告げ,全員がそのことに深く関わっていることを暴いていく。(岩波書店より)

イギリスの戯曲家、プリーストリーが1964年に発表した戯曲。映画化もされ芝居の上演も続いている有名な戯曲とのこと。題名に聞き覚えがあると思ったのは映画の題名で、かしら。どちらかのBlogで「面白い」との感想を読んで手に取りました。そしたら『IN☆POCKET』の2007年文庫翻訳ミステリーベスト20の3位に入っていました。何気に評判だったんですね〜。その評判にたがわぬ面白い戯曲でした。自死した一人の女性についてある刑事が裕福な家族を告発していくというミステリ(推理小説のほう)です。でもそれだけに終わらないところもまた面白い。160pほどの短いものなのですが話が結構密です。また、基本的に人の縁というものを描いているせいか古さをあまり感じさせないのも凄いですね。わりと擦れたミステリ読みの私ですが、会話がどう転がっていくか予測がつかなくて、「こう転がしていくか」と思わず感心してしまいました。推理もの好きにはかなりオススメです。

夜の来訪者 (岩波文庫 赤294-1)

夜の来訪者 (岩波文庫 赤294-1)