『ひばり』

シアターコクーン蜷川幸雄演出・松たか子主演『ひばり』を観てきました。思った以上に面白かった。 アヌイの戯曲をきちんと読んでみたくなりました。構成が面白いし、内容が非常に密。 キリスト教というものを理解していないとたぶんこの戯曲の本質は読み取れないんだろうとは思う。宗教の形而上学の部分は把握しきれない部分がかなりある。だけど、ただの宗教裁判だけに留まらない芝居なので感覚的なところで受け入れられる。基本的に「人間賛歌」の物語として私は受け取った。また、規範に抗うジャンヌには「人」として「女」として自由に生きるための犠牲と代償を一身に受け止めてしまった少女として共感を覚えた。あのラストはかえって切ない。


宗教裁判のなかで語られた神を愛することと人を愛することは同列にしてはいけない、その形而上学の部分がどうしても受け入れられなかった。一神教というものはそういうものだ、と頭でわかっても感情の部分で否定したくなる。