クレイグ・ラッセル『血まみれの鷲』(ハヤカワHM文庫)

「血まみれ結構、成人指定の生々しさで語って欲しいの by某シキブ」じゃありませんが、私は物語上で血まみれ残酷描写はわりと平気です。じゃなきゃ、ミステリ好きは自認出来ないでしょうし。んが、体調不良中だったりすると精神的に少々堪える時も。で、この『血まみれの鷲』は題名にもあるけど、とにかく血まみれ、血まみれです。読んでて途中気分悪くなってしてしまいましたよ。でもかなり面白いし私好みな本だったりするのが始末に終えない(笑)


多民族国家ドイツの民族間の確執、第二次大戦後のドイツ人のメンタリティ、西欧の歴史と宗教、戦争などなど、かなり盛り沢山なテーマで物語を構築しているのですが破綻がない。いわゆる警察小説で警官たちが頭と足でこつこつと事件を追っていく、そのなかで、というドラマの骨格がしっかりしているおかげでしょう。またこの混沌としたテーマをあえて焦点を絞らないところが上手い。そこに捻りがある。かなり読み応えがあります。

血まみれの鷲 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

血まみれの鷲 (ハヤカワ・ミステリ文庫)