血は争えぬ

歌舞伎座『芸術祭十月大歌舞伎』夜の部を観ました。『仮名手本忠臣蔵 5・6段目』では仁左衛門さんが大熱演。切腹の場で似てると思ったことがなかった十三代目にとても似ていてビックリしました。しかし主役の熱演に比べ脇がどうも薄め。海老くん定九郎、姿はいいんだけどどこか軽すぎ。菊ちゃんのお軽は勉強してきてるなというのはよくわかるが情が薄い。家橘さんのおかやは全然ニンじゃなくて、とにかく違う。いつもならおかやで泣くんだけど、泣けない。


『髪結新三』はある意味期待の幸四郎さん新三は想像以上に悪人すぎ…。どっからどうみても愛嬌のある小悪党に見えないんですけど…あれでは凄みのある大悪党。ただ「新三内の場」の演出は面白かったし、新三らしい可愛い男にかろうじてこの場だけはなっていた。でもやっぱりニンではないよなぁ。幸四郎さんの初役世話物シリーズのなかで一番似合ってなかった(笑)まっ、楽しかったけどね。家主長兵衛の弥十郎さんがかなり良かった。似てない兄弟だと思っていた亡くなられた坂東吉弥さんを彷彿させるところがいくつか。血は争えない。 勝奴の市蔵さんは幸四郎さんとのバランスもよく好演。高麗蔵さんのお熊ちゃんはトウが立ちすぎていた…別な役はなかったんだろうか?