『ゲド戦記』観た!

色んな意味で話題の『ゲド戦記』を観てきました。「もったいない出来!」それがまず最初に出た私の感想。絶賛は出来ないけど悪くは無い。良いパーツはあるのに表現しきれてないし纏めきれてない。1巻から4巻までのエピソードやテーマを全部入れようとしすぎてテーマが散漫になり人物像が薄くなってしまったというところだろう。どう考えても1巻から4巻までをたった115分に詰め込もうということ自体が無謀すぎ。素直に3巻だけで映画作ればいいのに。なんでこんなことをしちゃったのよ。おかげでゲド戦記のなかのアースーシーという世界がどういうものなのかが抜け落ちてしまっている。そして一番残念なのがキャラクターの肉付けの薄さ。それぞれのキャラクターの人物像がどういうものなのかが表現されていないんですよね。あれもこれも欲張りすぎて薄くなってしまったとしか思えないです。なんというか42話のアニメを無理矢理映画にしてみました、という感じなんですよ。だから説明不足になり、言葉に頼るハメになり、またその言葉が説明的になりすぎ、物語不足。


素直にまっすぐに作ったんのだろうという感じは伝わってきて、その強さは映画にはあったと思うのです。だからこそ第一巻から三巻まで三部作で丁寧に映画を作ったら良かったに、もったいないと思いました。そのほうが絶対に良かった。演出の稚拙さ、キャラクターの表情の稚拙さはありましたけど、ダメな映画にはなっていない。良いとは言い難いけど悪くはないんですよねえ。もっと監督&作画監督が経験を積んでいけば良いものを作ってくれそうな雰囲気がある。吾朗監督のほうは経験不足ブラス、アニメの演出ではなく実写の演出をしてしまってる。作画監督(どなたなんでしょう?パンフを買わなかったんで分らない。たぶんハウルの一部分を演出をした人だと思うんですよ)はキャラクターの表情が硬すぎ。でも両方とも宮崎駿氏とはあきらかに違う方向性を持って表現できるだけの力はあるような気がする。


評判が良くない理由は色々ありそうですが私が思うに物語性の薄さだけじゃなく、萌えキャラが一つもないってとこじゃないかと。オタク心や子供心を誘うものがまったくないんですよね。それと宮崎駿氏が得意とする躍動感、飛翔感が無いってところかな。ジブリアニメにはどうしてもそこを求めますからねえ。とりあえず一箇所も宮崎駿氏の手が入ってなかったのにはちょっと驚き(笑)少しは演出に口出ししてるかと思ってました。個人的に一番ガッカリしたのはロークの魔法使いが全く出てこなかったのと竜のカレシンが出なかったことです!うわーん(涙)好きな部分は竜の造詣が結構好みで、あとは背景が良かったです。色遣いとか素朴さと力強さがあって。あとは歌は文句無く素晴らしい。手嶌葵の声の良さ、曲の良さ、歌詞の良さ、三拍子揃ってる歌だと思う。