ローレンス・ノーフォーク『ジョン・ランプリエールの辞書』上下(創元推理文庫)

ジョン・ランプリエールって実在の人物だったのかあ〜。ジョン・ランプリエールが編纂した辞書を読んでみたくなりました(笑)史実とはだいぶ異なるようですが、実在の人物をモチーフにユグノー弾圧、東インド会社など17世紀〜18世紀のイギリスとフランスの歴史を絡めた冒険ミステリ。


歴史とかギリシャ神話とか含蓄たっぷりのわりに小難しくはないです。事件に絡むギリシャ神話のモチーフは有名な逸話ですし、含蓄で物語を振り回そうという小説ではありません。それにしてもせっかくの含蓄が謎に結びついていなかったりするのでもったいない使い方かなとも思いますが青春冒険物語として読めばかなり楽しい小説です。ミステリとしてはバカミスの範疇に近いかなあ?いや、ちゃんと謎は収斂させているし、きちんとミステリではあるんですが後半思いっきりハリウッドちっくな活劇ものになってしまうので、地道な謎解きを期待するとかえって肩透かし感が。当時の風俗が丁寧に描かれている部分が個人的に一番楽しかったです。「豚肉倶楽部」なるパーティの猥雑さったら最高(笑)。登場人物たちの濃い個性も楽しいです。小説としてはちょっとあちこち飛びすぎ、詰め込みすぎかなとも思いますがその混乱さ加減も楽しむものなのかもしれません。