アストリット・パプロッタ『死体絵画』(講談社文庫)

ドイツミステリ大賞作品。サイコものと思わせながら最終的に社会問題へと繋げていく物語設定がとてもいい着眼点で好み。ドイツの今の社会が描かれ、そのなかで生きる人物像の描写も上手い。小さくまとまらないミステリとしては非常にいいとは思う。ただシリーズものの第三巻目ということも大きいとは思うのだが主人公の内面描写に上手く入り込めない部分があったり。一巻、二巻で語られたであろうキャラ背景の前提なしだとわかりずらい部分が。また翻訳も少々読みずらい。こなれてないというか、たまに主語が変だったり…。翻訳者のせいか地の文が悪いのか。物足りなさはあったもののもっと読んでみたい作家なので一作目、二作目も訳してほしいです。