松本幸四郎『弁慶のカーテンコール』(知恵の森文庫)

立ち読みで済ますつもりが途中で流し読みできなくて買ってしまいました。いや、だって歌舞伎に関する話がこんなに載っているとは思わず…。にしても幸四郎さんが歌舞伎原理主義者(笑)だとは正直驚きました。歌舞伎、ミュージカル、ストレートプレイと縦横無尽に活躍されているので芝居に対してはボーダーレスな感覚の持ち主かと。「「歌舞伎は歌舞伎」「ミュージカルはミュージカル」「演劇は演劇」それぞれまったく別物です」と言い切る。幸四郎さんは「歌舞伎役者がやれば歌舞伎」なんてことは絶対言わない人でしょうね…。とにかく芝居に関する思い入れやいわゆる芸談がかなり面白いです。最近演じた役に関しても書き下ろしで書いているので自分が観た時の感想と幸四郎さんが演じようとした意図を比べてみることもできる。


それにしてもなんというか非常にストイックでよく人を見ている方だなあと。またなんというかまっすぐで純粋で結構、無防備な人かも(^^;)いわゆる芝居バカなんでしょうね。ちょっと手塚治虫さんを連想させた。ある種の人間独特の感性が見え隠れ。