四月大歌舞伎 夜の部

歌舞伎座『六世中村歌右衛門五年祭追善興行 四月大歌舞伎』夜の部を観ました。一番のお目当ては『伊勢音頭恋寝刃』。貢は仁左衛門さんが一番しっくりくる。品の良い硬さのなかに甘さをみせる。そのバランスが絶妙。それと時蔵さんのお紺がかなり良かった。この方はここ数年で一気に一皮向けた感があります。梅玉さんのはしこくて鋭さのある喜助も良かったなあ。期待してた福助さんの万野は作りすぎのような…。非常に攻撃的な万野。前のめりすぎてメリハリが効かない。柄に合う役だと思ったけど、あんなに老けた感じにしないくてもいいと思うし、いつもの可愛らしいネチこさでやればいいのに。


『井伊大老』は短縮版だった。短縮版だと夫婦の情愛のみクローズアップされる。吉右衛門さんと魁春さんが持ち味を活かして手堅い出来。しかし静の方の館の場だけの短縮版より井伊大老の取り巻く政治状況や、正室の昌子と愛妾の静の方の対比をみせるフルヴァージョンのほうが「死」「別れ」の緊迫感のなかでの情愛がより強調されもっと切なくなるのにと思った。私的には『井伊大老』は2年前の幸四郎さん・雀右衛門さんの時のが今のところベストだ。詳細感想後日。