『夢の仲蔵 千本桜』

仕事、結構忙しかったりしたんですが頼み込んで30分だけ早退して、ぎりぎりで日生劇場へ飛び込みました。はいそうです、『夢の仲蔵 千本桜』3回目観劇(笑)。1回は全体を俯瞰して見たかったので一番安いC席で実質4階からの鑑賞です。本当は楽日を見たかったのですがさすがに平日昼は行けないので前楽の夜の部。


染五郎が演じてるというのを忘れそうになるほど染ちゃんは怖いくらいに此蔵でした。そしてぼろぼろでした。たぶん、半分は気力で演じていたんじゃないかな。身体がかなりぼろぼろだろうというのは最初の踊りの時点でわかりました。考えたら2ケ月もの長丁場を昼夜、あれだけのものを演じてきたんですから、相当疲れが溜まっているだろうことは想像つきましたが、もう痛々しいくらい必死でした。でも、その代わりと言っては変かもしれませんが、「此蔵」の生の顔が出てました。決して染五郎の顔ではない。此としての顔、そして此の心からの叫びでした。世の中を恨み拗ね、心の底から愛情を求め、そしてなにより役者としてか生きていけない、そんな気狂いの目をした此でした。