訃報:中村吉之丞さん

吉之丞さんが…。大好きな役者さんがまたしても…。吉之丞さんは品格のあるとても佇まいが美しい役者さんでした。でも役によってはお茶目なところもあったり。ご本人がお茶目なところがおありだったというエピソードを伺ったことがあります。『毛谷村』のお幸、大好きだった。『一條大蔵譚』鳴瀬、『傾城反魂香』北の方、『牡丹燈籠』お米なども絶品でした。吉之丞さんの最後の舞台は『将軍江戸を去る』の美濃部の母、最期の台詞はたった一言、「名もなき女でございます」でした。吉之丞さんがなぜ、こんなお役を?と思い、もしやこれを最後にする気では?とも思い、それが寂しいことに当たってしまったのだけど、でも吉之丞さんらしい、とも思ったのでした。まだまだ後進の指導に当たっていただきたかった。