仁左衛門さん与兵衛

私は仁左衛門さんの孝夫時代の与兵衛も観てる。玉三郎さんにちょうどハマった頃だったかな。『桜姫』、このコンビでまた観たいなあ〜。
孝夫時代の与兵衛の『女殺油地獄』ではじめてこの演目を観た。衝撃だったなあ。仁左衛門さん与兵衛はこの時のとその次に歌舞伎座で上演した時は殺しの場でいわゆる本物の狂気はなかった。どうしようもなく追い詰められて必死にだった。私はそこの部分に共感できて、与兵衛も可哀想な人と思ったのだ。 さよなら公演の時の仁左衛門さん与兵衛は殺し場では残忍で狂気に陥った与兵衛だった。私はこの時は可哀想とは思わなかった。だから私は孝夫時代の与兵衛のほうが好きなのだ。
仁左衛門さんて若い時は殺し場でいわゆる精神が歪んだほうの「狂い」は見せてこなかったような。私には追い詰められてとか頭に血が上って虚無に入り込むとかそっちのイメージが大きい。最近はすごく残忍になったり恋狂いのために狂気に入り込んだりも見せるようになった感じ。でも向こう側にはいかないでかならず戻るよね。