新宿武蔵野映画館『今度の日曜日に』

今度の日曜日に

昨夜の舞台挨拶に行けなかった者同士で映画、けんもち聡監督『今度の日曜日に』を観に行きました。朝一の回に行ったのですがガラスで作った綺麗な石を貰いました。日曜に限りの数量限定プレゼントだそうです。武蔵野映画館のロビーにはガラス瓶と等身大パネルが置いてあり、映画関連の記事が沢山貼っていました。染五郎さん関連記事も多く、追いかけきれなかった記事が読めて嬉しかったです。


さて映画ですが、いわゆる佳作だと思います。いかにも単館上映系の淡々とした日常系の映画。全体的にとても心地よい空気が流れそのなかに生きていくことの哀しさや切なさをさらりと描き、生きる事に頑張り前へ進んでいく人を丁寧に拾い出していく。ほのぼのとして、でもどこか切ない、そういういう映画です。ありそうでなさそうな、なさそうでありそうな「地についたファンタジィー」映画。いまどきではない空気を纏った、どこか透明感のある染五郎さんとユンナちゃんのキャステングが非常に活きていたように思います。また珍しくアクが強くない役の竹中直人がとても良かった。今回、麻薬事件を起こしてしまった中村俊太も割と良い感じで…自分で将来を潰すなんてもったいない。全体的にはもう少しタイトでもいいなとは思ったのですがそのゆるさ加減も映画の持ち味になっており十分に満足できました。
染五郎さんは今回本当に冴えないおじさん役をほんとに冴えないおじさんとしてほんわか飄々と演じています。カッコイイところはひとつも出てこないし、終始、ぼさぼさ頭で青髭ならなぬもっと中途半端な髭面を晒しています。なのでカッコイイ染ちゃんを見たい人には向きません。でも情けないけどなんか可愛いしちょっと切ないし、ゆるゆる染ちゃんでもOKなファンならハマるかなと思います。情け無い系の染ちゃんも大好きな私はかなり「おお、いいじゃん」とか思いました(笑)。染ちゃん演じる松元さんは生きるのに不器用でそれを自覚しながらもきちんと生きていくことを諦めないおじさんです。その不器用さを隠さないでドジばかりしてるけど、それでも子供の前ではちゃんと父親の顔を見せられる。冴えないおじさんでどこか浮世離れしてるけど、そこが魅力。なぜこの役に染ちゃん?と思っていたけど観たら納得。
また自分の想いをうまく抱えきれないソラちゃんをユンナちゃんが本当にストレートに一生懸命演じていて、凄く可愛い。特別美人でもすご〜く可愛いってお顔じゃなくてどこでもいる女の子な感じなのがまたいいです。やってることは不思議ちゃん系なんだけどそうはなってない。品のよさ素直さがピュアに出てる感じ。この映画はソラちゃんの成長譚ですよね。
ラストのほうじわ〜っと来ちゃいました。私的解釈は松元さんは自分で思っていた以上にソラちゃんが大事になりすぎちゃったんじゃないかなと〜。