市川染五郎 新作歌舞伎 江戸下町に乱歩の世界

MNS産経ニュースに11月国立歌舞伎公演『江戸宵闇妖鉤爪』の記事が載っていました。染ちゃん、「なるべく(既存の)引き出しを開けずに作ることも必要だと思う」と言っているようです。どんな歌舞伎になるのだろう?楽しみです。

市川染五郎 新作歌舞伎 江戸下町に乱歩の世界


江戸川乱歩の長編ミステリー作品「人間豹(ひょう)」を、江戸時代に移して歌舞伎作品にする「江戸宵闇妖鉤爪(えどのやみあやしのかぎづめ)−明智小五郎と人間豹−」が11月3日から、東京・隼町の国立劇場で上演される。父・松本幸四郎がふんする隠密同心、明智小五郎を相手に、人間豹の殺人鬼、恩田乱学と、彼に恋人を次々と殺される幕臣、神谷芳之助の二役を演じる市川染五郎に話を聞いた。(生田誠


 「何か刺激的なことをやりたいと題材を探していたら、乱歩の世界を歌舞伎にできないかと思いついた。調べてみると『人間豹』は歌舞伎になっていないが、舞台化はしやすいのではと考えた。インテリっぽい、モダンな歌舞伎ができると思う」と染五郎は話す。


 これまでも、第1回コクーン歌舞伎東海道四谷怪談」やロンドン公演にも出かけた「葉武烈土倭錦絵(はむれっとやまとのにしきえ)」など、歌舞伎の新しい試みに積極的に参加している。今度は、自らが乱歩作品の歌舞伎化を企画し、岩豪友樹子の脚色、父・幸四郎(九代琴松)の演出で上演する機会が訪れた。


 「人間豹」は、日本の探偵・推理小説の基礎を築いた乱歩が「講談倶楽部」に昭和9年1月号から10年5月号まで連載した。カフェの女給の弘子、レビューガールの蘭子という恋人2人を殺された青年会社員、神谷が名探偵、明智小五郎に助けを求める。明智は自分の妻、文代にまで、人間豹・恩田の魔の手が及んでいることを知って、彼と対決するという物語。


 「乱歩作品の舞台は下町が多いし、どうして事件が起きたか、なぜ(犯人が)事件を起こしたかは詳しく書かれていない。理屈じゃない殺人の方が恐怖感はあると思う。また、様式的な美しさもある」。今回は京橋のカフェを上野の茶屋に変え、レビューガールを女役者にするなど、昭和の東京を江戸下町の物語にした。明智も私立探偵から隠密廻り同心に変えられた。


 「完全なる新作を目指して音楽や衣装に知恵を絞りたい。なるべく(既存の)引き出しを開けずに作ることも必要だと思う」。大凧を使うラストの宙乗りも含めて、(回り舞台など)さまざまな仕掛けが使える国立劇場ならではの新作を目指す。


 26日まで。ほかに市川春猿市川高麗蔵らが出演。問い合わせは(電)0570・07・9900。

産経ニュース:http://sankei.jp.msn.com/entertainments/entertainers/081029/tnr0810290839002-n1.htm