宮崎駿監督『崖の上のポニョ』

映画『崖の上のポニョ』を母を連れて観にいきました。レディスデーだったんで1000円。平日とはいえ夏休み中なので子連れも多し。私が観た回はみんな大人しく観てたなあ。子供たちの感想を聞いてみたかった。

さて、映画ですが楽しかったんだけど、「よかった〜〜!」とか「面白かった〜〜!」ないわゆる充実感はあまり感じられず。母も「うーん、満足感がない」と不満げ。宮崎さんらしいカタルシスがどこにもない映画でしたね。それで終わり?みたいな。でもなんだかあれこれ面白い映画でもあった。結構笑いながら観てました私。特に前半。彼岸な映画と言われているのもよく分った。現実世界と異世界の境がまったくのフラットだと「生」と「死」が完全に曖昧となる。今までの作品はその境をしっかり分けて描いてたのに、今回は境なし。意図したものか意図せずなのか?これは面白すぎる。で、私はこの映画は宗介の夢(眠っている時のほうの夢ね)の物語だと思った。現実と幻想が同レベルのところにあって、いっさい説明なし話が進むけど観てる本人はそれがヘンだと感じない。でも客観視するとなんか変という。ついあれこれ解釈したくなるね、これ。

アニメーションとしての映像には大満足。今回、海がモチーフだから空を飛ぶシーンは無し。どうせなら空にも飛ばそうよ(笑)とか思ったり。特にポニョの造詣にはすんごい満足。メタモルフォーゼの容赦のなさが素敵すぎ。ポスターの絵だけだと可愛くないとか思ったんだけど動くと可愛いし、ちゃんと魚なとこがいい。あと海の上を走るシーンは絶品じゃ。あと宗介とポニョの子供らしさが、もうどうしましょうってくらいリアル。あんな5歳いないとか言う人もいるけどうちの甥っ子、まさしく宗介だよ。ポニョは姪っ子に言動がソックリだし。まるで映画のなかにうちの甥と姪がいるのかと思った。ただ大人たちがリアルじゃない。いや、すごくリアルな部分もある。でも違う。やっぱあれ子供が見る夢の大人たちじゃないかなあ。