世田谷パブリックシアター『ロマンス』2回目

忙しいなかバタバタと駆け込みました世田谷パブリックシアター『ロマンス』。前回観たのが8月22日ですから1ケ月以上ぶりの2回目の観劇です。前回とても楽しくて追加で取ったチケットです。前回拝見した時にすでにかなり完成されていると思ったお芝居でしたが、そこからまたまた進化していてビックリしました。役者同士、非常にまとまりがよく楽しそうに演じていながらも、かなりのガチンコ勝負。天井桟敷からの観劇でしたが、皆さんすごいパワーでした。またそれぞれのキャラクターに幅と深みが出ていました。そして、前回感じた「喜びと哀しみ」が増幅されていて、喜劇と悲劇は裏腹なのだと胸に響きました。生きることの哀しみ、だからこそ「笑い」を作らなければいけないのだと。本当に素敵なお芝居でした。


今回目を惹いたのは松たか子ちゃん。大竹しのぶさんに押され気味だった松たか子ちゃんが、相当な成長ぶりを見せていました。マリアの誠実さと兄を生きがいにしてしまった女性の哀しみが切ないまでに伝わってきました。切ない台詞のシーンはなんとなくお兄さんの染五郎さんを彷彿させた。この兄妹は、切ない台詞を言わせたら絶品ですねえ。それと体の動きがなんと美しいこと。天井桟敷からだからわかったのかも。またそのマリア@松たか子ちゃんの成長ぶりにまだまだ余裕で受ける大竹しのぶさんが本当に素晴らしい。緩急豊かな芝居と深みのある台詞。さすが、というしかないですね。


そして男優陣、井上芳雄生瀬勝久段田安則木場勝己の四人がそれぞれ自分も持ち味をフルに発揮。井上芳雄さんの素直な芝居、生瀬勝久さんのユーモラスで線の太い芝居、段田安則さんの繊細で背筋の通った芝居(段田さんのチェーホフが一番、前回より変化がありました)、木場勝己さんの暖かく懐の深い芝居、それぞれに見応えがありました。素敵な時間をありがとう、と言いたいお芝居でした。