彩の国さいたま芸術劇場『主役の男が女である時』

彩の国さいたま芸術劇場ヤン・ファーブル演出『主役の男が女である時』を観に行きました。4月に観たピナ・バウシュ ヴッパタール舞踊団に続きコンテンポラリーダンス2回目の体験です。私、コンテンポラリーダンスがかなり好きかも。いやあ、楽しかった、面白かった!観終わった後、どこかがスコンと突き抜けたような開放感を味わいました。タイトルからわかるようにジェンダーという部分を意識したパフォーマンスだと思うのですが、男を模した女が少しづつ素の女となりそして女を超え無垢な生命体へと変容していく、そういうものを私は感じました。後半、フルヌードでのダンスなのですがオリーブオイルにまみれたその肉体は力強さと美しさがありました。柔らかそうな体につく筋肉のバランスが完璧。鍛えられた体のその美しさは彫刻のようでもあり一瞬、一瞬が絵画のようでもありました。激しく力強く踊るその肉体はエロチシズムを超えた美しさでした。


またパフォーマンスとしてそれこそジェンダーを超えたところでのユーモア感覚があって非常に楽しかったです。緩急の付け方がまた心地よいのです。ヤン・ファーブル氏は男性ですがいわゆる私が今まで感じてきた男性が「女」を捉える時の視点が無いんですよ。生理的な部分ですんなり「女」である私が受け入れることのできる世界観でした。これにはちょっと驚きました。ミクロとマクロが交差していくようなイメージの広がりを感じたりもしました。私的にテリー・ギリアム監督のユーモア感覚を連想させたりもちょっとしました。本質的な部分は違うんですけどね。感覚的な部分でちょっと似てる気が。


ダンサーのスン・イム・ハーが素晴らしかったです。キュートで力強さと繊細を同時に体で表現できるダンサーだと思いました。単純な舞台装置のなか繰り返しの多い動きをあれだけの吸引力をもって踊りきるのは並大抵ではないと思う。