マイクル・コナリー『ブラック・アイス』(扶桑社ミステリー文庫)

モーテルで発見された麻薬課刑事ムーアの死体。殺人課のボッシュはなぜか捜査から外され、内務監査課が出動した。状況は汚職警官の自殺。しかし検屍の結果、自殺は偽装であることが判明。興味を持ったボッシュは密かに事件の裏を探る。新しい麻薬ブラック・アイスをめぐる麻薬組織の対立の構図を知ったボッシュは、鍵を握る麻薬王ソリージョと対決すべくメキシコへ…ハリウッド署のはぐれ刑事ボッシュの執念の捜査があばく事件の意外な真相。『ナイトホークス』に続く傑作ハードボイルド第2弾。

評判が良いシリーズなのに手に取っていなかったハリー・ボッシュもの。シリーズは第一作目から読んだほうがいいのに第二作目を買ってしまっていた…。主人公の立ち位置や基本の人物像を知るにはやはり最初から読むべきだけど、この作品、単体でも十分楽しめるようになっていました。ボッシュはハードボイルドタイプの主人公ですが、組織のなかにいるので、そのなかにいる葛藤も描かれ物語が重層的になっています。また全体の構成は本格ミステリ近い緻密な構成。読み応えがありました。女性関係の部分など、いかにもアメリカのハードボイルドだな的な甘さがありますが、本筋がきっちりしているので許せる範囲。マイクル・コナリー、これからいくつか読んでみようと思います。

ブラック・アイス (扶桑社ミステリー)

ブラック・アイス (扶桑社ミステリー)